第8回 物質輸送(拡散・浸透)

高校生物 第8回 物質輸送(拡散・浸透)
0%
Start!
クリックで表示 → 正解 不正解 Esc隠す
⚠️ 記録はこのブラウザに保存されます。履歴削除・シークレットモードで消えます。

第8回 物質輸送(拡散・浸透)

92
総問題数
0
正解率 80%↑
0
40〜80%
0
40%↓
92
未回答
0
完全習得🎯
1. 物質輸送とは

物質輸送とは、 細胞膜を通して 細胞の内外で物質が移動することである。 細胞が生きていくためには、 酸素二酸化炭素栄養分などが 絶えず出入りしている必要がある。

細胞膜の選択的透過性により、 物質の種類・大きさ・性質に応じて通しやすさが異なる。 輸送の様式は大きく エネルギーを使わない受動輸送と、 エネルギーを使う能動輸送に分かれる。 この回では受動輸送の代表である拡散浸透を学ぶ。

2. 拡散のしくみ

拡散とは、 物質が濃度勾配に従って 高濃度の側から 低濃度の側へ 自然に広がっていく現象である。 エネルギー(ATP)を消費しないため、 受動的な輸送に分類される。

🎯 イメージ: インクを水に落とすと自然に広がるのと同じ。 濃度差がなくなる(均一になる)まで移動が続く。
3. 単純拡散と促進拡散

拡散には2種類ある。

  • 単純拡散: 膜タンパク質を介さず、脂溶性(疎水性)の 小さな分子が リン脂質二重層をそのまま通り抜ける。 例:酸素(O₂)・ 二酸化炭素(CO₂)・エタノール・尿素など。 細胞呼吸ガス交換はこの原理で進む。
  • 促進拡散輸送タンパク質 (チャネルやキャリアタンパク質)の助けを借りて 水溶性の物質や イオンが移動する。 エネルギーは不要で、濃度勾配に従う点は単純拡散と同じ。 例:グルコース・アミノ酸の一部・Na⁺・K⁺など。
4. 浸透のしくみ

浸透とは、 半透膜を隔てて 水分子が移動する現象である。 水は「水の濃度が高い側(=溶質濃度が低い側)」から 「水の濃度が低い側(=溶質濃度が高い側)」へ移動する。 高校では「薄い方から濃い方へ水が移動する」と整理するとよい。

低濃度側
(水が多い)
💧💧💧
半透膜
高濃度側
(溶質が多い)
→→

この水の移動を引き起こす圧力(引き込む力)を 浸透圧という。 溶質濃度が高いほど浸透圧は高く、 水を引き込む力が強い。

5. 半透膜とは

半透膜とは、 (小さな分子)は通すが、 大きな溶質分子は通しにくい膜のことである。 細胞膜は完全な半透膜ではないが、浸透を理解するうえで 半透膜として扱うことが多い。 実験ではセロハン膜透析チューブが 半透膜のモデルとして使われる。

6. 等張液・高張液・低張液

細胞を浸す溶液の濃度によって、水の移動の向きが決まる。

溶液の種類外液と細胞内液の関係水の移動細胞の変化
等張液 濃度がほぼ等しい 移動なし(つり合い) 変化なし
高張液 外液の濃度 > 細胞内液 細胞 → 外液(水が出る) 縮む・収縮
低張液 外液の濃度 < 細胞内液 外液 → 細胞(水が入る) ふくらむ・膨張
🎯 覚え方:高張液=外が濃い → 水が出て縮む」 「低張液=外が薄い → 水が入ってふくらむ」
7. 動物細胞での変化 — 赤血球を例に

動物細胞には 細胞壁がないため、浸透による体積変化が顕著に現れる。 赤血球を使った実験でよく確認される。

低張液(純水・薄い食塩水)に入れると

外液が薄いため、赤血球に吸水が起こり 細胞が膨張する。 過度に膨らむと細胞膜が破れ、 溶血(ヘモグロビンが流出する現象)が起きる。

高張液(濃い食塩水)に入れると

外液が濃いため、赤血球から水が流出して 細胞が収縮し、 しわしわになる(萎縮)。

⚠️ 実験の注意: 生理食塩水(約0.9%NaCl)は赤血球の等張液で、 赤血球を変形させずに保てる。医療で使われる理由もここにある。
8. 植物細胞での変化 — 原形質分離

植物細胞には 細胞壁があるため、 動物細胞とは異なる反応を示す。

低張液(純水)に入れると

細胞に水が入り、膨圧 (細胞内から細胞壁を押す圧力)が高まる。 細胞壁が支えるため、動物細胞のように破裂しない。 植物がみずみずしく立っていられるのはこの膨圧のおかげ。

高張液(濃い砂糖水など)に入れると

細胞から水が出て、 原形質 (細胞膜に包まれた細胞内容物)が 細胞壁から離れる。 この現象を原形質分離という。

原形質分離した細胞を低張液(純水)に戻すと、 再び吸水して原形質が細胞壁に戻る。 これを原形質復帰という。 原形質分離は顕微鏡観察の定番実験(タマネギの表皮など)で確認できる。

⚠️ 混同注意: 植物細胞が高張液中で縮むのは 原形質分離(細胞壁から原形質が離れる)であって、 細胞壁が縮むわけではない。 細胞壁はほぼ変形しない
9. 拡散と浸透の違い — まとめ比較
項目拡散浸透
移動する物 溶質・気体分子など 水分子
必要な構造 不要(単純拡散)または輸送タンパク質 半透膜(または細胞膜)
移動の方向 高濃度 → 低濃度(濃度勾配に従う) 低溶質濃度 → 高溶質濃度(水の浸透圧差に従う)
エネルギー 不要 不要
速度の決定要因 濃度差・温度・粒子の大きさ 溶質濃度差・温度・膜の性質
10. 身近な例で理解する浸透
  • きゅうりの塩もみ: 食塩水(高張液)の中で 野菜の細胞から水が出て脱水される。 これは植物細胞の浸透現象そのもの。
  • 点滴液・生理食塩水: 赤血球を変化させないよう、血液と等張の 約0.9%食塩水が使われる。
  • 植物が水分を吸い上げる: 根の細胞の浸透圧が 土壌水よりも高いため、根圧が生まれて水が吸収される。
  • 原形質分離の観察実験: タマネギの表皮細胞をスクロース溶液(高張液)につけると 原形質分離が顕微鏡で確認できる。
11. まとめと次回へのつながり

拡散と浸透はともに 受動輸送(エネルギー不要)の代表例である。 拡散は溶質・気体が濃度勾配に従って広がる現象、 浸透は半透膜を通じて水が移動する現象と区別する。

一方、能動輸送では ATP(エネルギー)を消費して 濃度勾配逆らって物質を輸送する。 代表例はNa⁺-K⁺ポンプで、 ナトリウムイオンを細胞外へ、カリウムイオンを細胞内へ汲み出す。 これらは次回「能動輸送と膜タンパク質」で詳しく学ぶ。

💡 テスト直前チェック:
① 拡散 = 濃度勾配に従う・エネルギー不要・受動輸送
② 単純拡散(脂溶性小分子・O₂・CO₂)と促進拡散(輸送タンパク質を使う)を区別
③ 浸透 = 半透膜を通じた水の移動・薄い方から濃い方へ
④ 高張液 → 細胞縮む、低張液 → 細胞ふくらむ
⑤ 植物細胞(高張液中)→ 原形質分離、動物細胞(低張液中)→ 溶血
📝 確認テスト(一問一答)
Q1. 物質が濃度勾配に従い、エネルギーを使わずに広がる現象を何というか?
A. 拡散
Q2. 半透膜を通じて水が薄い側から濃い側へ移動する現象を何というか?
A. 浸透
Q3. 濃度勾配に従う移動を引き起こす、濃度の差のことを何というか?
A. 濃度勾配
Q4. 水は通すが大きな溶質は通しにくい膜を何というか?
A. 半透膜
Q5. 細胞内外の浸透圧が等しく、水の移動がつり合っている溶液を何というか?
A. 等張液
Q6. 外液の濃度が細胞内より高く、細胞から水が出やすい溶液を何というか?
A. 高張液
Q7. 外液の濃度が細胞内より低く、細胞へ水が入りやすい溶液を何というか?
A. 低張液
Q8. 植物細胞が高張液中に置かれた際に、原形質が細胞壁から離れる現象を何というか?
A. 原形質分離
Q9. 植物細胞が水を吸収したときに細胞壁を内側から押す圧力を何というか?
A. 膨圧
Q10. 赤血球を低張液に入れたとき、細胞が破裂してヘモグロビンが流出する現象を何というか?
A. 溶血

クリックで答えを表示

Space表示 正解 不正解

コメント

タイトルとURLをコピーしました