第10回 細胞壁(植物細胞)

高校生物 第10回 細胞壁(植物細胞)
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第10回 細胞壁(植物細胞)

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1. 細胞壁とは

細胞壁は、 植物細胞において 細胞膜外側に存在する、 硬くて丈夫な構造である。 動物細胞には細胞壁がない点が、 植物細胞との大きな違いの一つだ。

細胞壁の主な働きは、細胞の を保ち、 外部からの機械的ストレスから細胞を 保護することである。 また植物全体の支持にも関わり、 茎や葉が立つことを可能にする重要な構造だ。

植物細胞の断面(外側→内側)
細胞壁(Cell Wall)
セルロースなどからなる硬い層
↕ 密着
細胞膜(Cell Membrane)
リン脂質二重層・選択的透過性
細胞質(Cytoplasm)
各種細胞小器官を含む
🎯 最初に押さえよう: 細胞壁は細胞膜の外側にある。
細胞壁 → 外側・硬い・支持・保護/細胞膜 → 内側・やわらかい・物質調節
2. 細胞壁の主成分

植物細胞の細胞壁の主成分は セルロースである。 セルロースはグルコースが 多数結合した多糖類で、 植物繊維の主体でもある。 強度が非常に高く、紙や木材の原料としても知られる。

セルロースのほかにも、細胞どうしを接着する ペクチンや、 セルロース繊維をつなぐヘミセルロースが 含まれる。これらが組み合わさり、 格子状に積み重なることで 高い強度が生まれる。

⚠️ 覚え方: セルロースはグルコースのβ-1,4結合体。 ヒトはこれを消化できないため、食物繊維として機能する。
3. 細胞壁の役割
  • 形の維持: 細胞に一定の形状を与え、 外力に対して変形しにくくする。
  • 膨圧に耐える: 浸透によって水が流入し内側から 膨圧がかかっても、 細胞壁があるため破裂しない。 この張りの状態を膨圧状態という。
  • 植物体の支持: が重力に逆らって立つのは、 細胞壁による機械的支持が あるからである。
  • 保護: 病原体の侵入や 物理的な損傷から細胞を守る 物理的バリアとして機能する。
4. 細胞膜との違い

細胞膜と細胞壁は位置が近く混同しやすいが、機能が大きく異なる。

比較項目細胞壁細胞膜
場所 細胞膜の外側 細胞壁の内側(細胞質を囲む)
主成分 セルロース(多糖類) リン脂質二重層+タンパク質
主な機能 支持・保護 選択的透過性(物質の出入り調節)
透過性 多くの物質が自由に通過できる 物質を選別して通す
存在する細胞 植物・菌類・細菌 すべての細胞に存在
⚠️ 混同注意:選択的透過性」は 細胞膜の性質。 細胞壁は半透性ではないため、 イオンや大きな分子でも比較的自由に通過できる。
5. 膨圧・原形質分離との関係

細胞壁の重要な役割の一つが、 膨圧の支持である。 細胞が水を吸収すると浸透圧の差によって 水が細胞内に流入し、 内側から外側へ圧力(膨圧)がかかる。 細胞壁はこの圧力を受け止めて 細胞が破裂するのを防ぐ。

低張液中(水が多い環境)

低張液に入れると 浸透によって水が細胞内へ流入。 膨圧が上がり、細胞は張りのある状態になる(膨圧状態)。 細胞壁があるため破裂せず形が保たれる。
→ 植物がしゃんと立つ状態。

高張液中(塩分が多い環境)

高張液に入れると水が 細胞外へ出ていく。 原形質(細胞膜+細胞質)が 縮み、細胞壁から離れる現象を 原形質分離という。
→ 植物がしおれる原因の一つ。

原形質分離では細胞膜細胞質が収縮して 細胞壁から離れるが、 細胞壁は硬いため そのまま残る。 原形質分離は可逆的であり、 再び低張液に移すと原形質復帰(デプラスモリシス)が起こる。

💡 膨圧と細胞壁の関係まとめ:
① 水が入る → 膨圧↑ → 細胞壁が支えて張りを保つ
② 水が出る → 膨圧↓ → しおれ → 高張すぎると原形質分離
6. 一次・二次細胞壁と他生物との比較

● 一次細胞壁と二次細胞壁

成長中の細胞が持つのが 一次細胞壁で、 比較的薄く柔軟性がある。 細胞分裂や伸長成長のとき、一次細胞壁は引き伸ばされながら拡張できる。 一方、細胞が成熟すると一次細胞壁の内側に 二次細胞壁が形成される場合がある。 二次細胞壁にはリグニンが沈着することで 木化(木部細胞・道管など)し、非常に強固になる。

● 他の生物の細胞壁との比較

🌿 植物

主成分はセルロース(β-グルカン)。 高強度かつ柔軟性もあり、細胞成長にも対応する。

🍄 菌類

主成分はキチン(N-アセチルグルコサミンの重合体)。 昆虫の外骨格と同じ物質。

🦠 細菌(原核生物)

主成分はペプチドグリカン抗生物質の一部はこの 合成を阻害することで細菌を殺す。

7. まとめ — 細胞壁の全体像
項目内容
位置 細胞膜の外側
植物の主成分 セルロース(多糖類・グルコース重合体)
主な役割 支持・保護・膨圧支持
選択的透過性 なし(細胞膜の機能
菌類の成分 キチン
細菌の成分 ペプチドグリカン
💡 テスト直前チェック:
① 細胞壁は細胞膜の外側に存在(動物細胞にはない)
② 植物の主成分=セルロース/菌類=キチン/細菌=ペプチドグリカン
③ 膨圧で破裂しないのは細胞壁があるから
④ 高張液中で原形質分離→細胞壁は残り、細胞膜・細胞質が離れる
⑤ 二次細胞壁にはリグニンが沈着→木化
📝 確認テスト(一問一答)
Q1. 植物細胞において細胞膜の外側に存在する、硬くて丈夫な構造を何というか?
A. 細胞壁
Q2. 植物の細胞壁の主成分で、グルコースが多数結合した多糖類を何というか?
A. セルロース
Q3. 細胞壁は存在するが、選択的透過性をもつのはどちらか?細胞壁・細胞膜のうち答えよ。
A. 細胞膜
Q4. 浸透によって水が細胞内に流入し、細胞内側から外側へかかる圧力を何というか?
A. 膨圧
Q5. 高張液中で細胞膜・細胞質が細胞壁から離れる現象を何というか?
A. 原形質分離
Q6. 二次細胞壁に沈着し、細胞を木化させる物質を何というか?
A. リグニン
Q7. 菌類の細胞壁の主成分で、昆虫の外骨格にも含まれる物質を何というか?
A. キチン
Q8. 細菌の細胞壁の主成分で、一部の抗生物質の標的となる物質を何というか?
A. ペプチドグリカン
Q9. 細胞どうしを接着する役割を担う、細胞壁に含まれる多糖類を何というか?
A. ペクチン
Q10. 原形質分離が起こったとき、そのまま残るのは細胞壁か細胞膜か?
A. 細胞壁

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